モジコラ(文字コラム)

ビジネスシートと空回りB

先日海外出張で飛行機のビジネスシートなるものに初めて乗った。

贅沢と思われるかもしれないがビジネスシートしか取れなかったのだ。

できるならJALやANAなど日本の航空会社のビジネスシートに乗ってみたいとは思うが金額はベラボーに高くなるのだろう。

そもそもそんなもの会社が認めてくれるわけもない。

金額と空席の関係でたまたま乗ることができたのだ。

広島空港から台北、乗り継いで台北からベトナムという行程。

台北までは今までの経験上飛行機自体が大きくない、とは言え私はビジネスシート!

快適な空の旅が待っているはずだ!

 

 

が、テレビモニターがない!!

個人スペースはさすがの広さだが、モ、モニターがない!!

なんたることか!いくら小さな機体とはいえビジネスシートだぞ?

私は機内で映画を見ながらウトウトするのが好きなのだ。

そして4席しかないビジネスシートは、私の他はどうやら3人1グループのよう。(8席あるが隣の席はいずれも空席にしてくれている)

男2、女1。

見たところ大学生っぽいな。

 

なんか全然ビジネスシート感がないのだがこんなもんなのか?

 

っていうか女1男2で海外ってどんなシチュエーションなんだ?

気になる。気になるぞ。

変な妄想が頭を支配する。

なんか・・・エロい・・・

女1を男AとBが海外で奪い合う旅行になるのだろうか。

「お前アイツのことどう思ってんだよ」

「別になんと思ってねーよ、お前こそどーなんだよ」

「俺だってなんとも思ってねーよ」

なんてヒロインを取り合う少女漫画のようなことが起きるのか?

何となくAが一歩リードしてるっぽい。

 

ただAよ、頼り甲斐があるところを見せたいのはわかるが飛行機でiPhoneの充電は危ないってアドバイスはどうだろう。

窓からの写真も撮りたいだろう。今時充電もできない設備ってことはあるまい。

 

いいのかB、Aは必死にヒロインへアピールしてr・・おい!B!!

離陸前からイスを倒すんじゃない!!

いじけたのか?それとも作戦か?飛行機乗り慣れてるぜ感を出そうとする作戦なのか?

それともビジネスシートではありなのか?いや、そんなわけはない。

 

Bよ・・それは間違ってるんだ・・

乗り慣れてる感どころか飛行機童貞全開だ・・飛行機は離陸前はイスを倒しちゃダメなんだ・・

気づけ!気づけB!CAから注意される前に!!

・・・

・・・

まぁ・・なんだ・・CAに注意されることはよくあることさ。

台湾まではまだ時間はある。取り返そう。

 

ビジネスシートの楽しみのひとつは食事である。

エコノミーのあの弁当のようなものではなくお皿で出てくる。

チャイナエアラインということでメニューは「中華」と「和食」。

3人は何を食べるのだろう。もう3人の動向が気になって仕方がない。

まるでケンカばかりしていた幼馴染に恋人ができそうな時のあのモヤモヤ感。

 

いや、もう父親だ!私はこの時から彼らの父親になっていたのだ。

どうやら息子たちは3人とも「和食」を選んだようだ。

「中華」を選んだ私の方がアウトローなのか?いや、CAは中国の人なので私の選択を彼女らは喜んでいるに違いない。

そうこうしてる間にまたしても息子Bがやらかした。

おかずを落としてしまったのだ。

私は息子Bの後ろに座っているのでよくは見えないが明らかに落としたことは頭の動きでわかる。

B・・空回りBよ・・・頑張れBよ・・・

 

息子たち3人の動向を気にしている間にいつのまにか台北に着いてしまった。(3時間くらいしかかからない)

 

私は本当にビジネスシートに座っていたのか?そんな疑問が頭に浮かんだがテレビモニターが無い代わりに息子たち3人はさながらドキュメンタリー映画を見ている気にさせてくれたのだ。

感動だ。

このドキュメンタリーの続きは見る事ができないがこの空回り息子Bに幸あれと願うばかりである。

 

 

 

しかしベトナム行きに乗り換えるころにはこのドキュメンタリー映画は綺麗さっぱり忘れて私はアクション映画を見ていた。

だって・・正直Bなんてどうでもいい・・よく考えたら息子でもなんでもなかった・・

何がドキュメンタリー映画だ!何が息子だ!このヤロー

勘当だ!

 

やっぱりビジネスシートらしく優雅なフライトを楽しみたい。

 

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